令和8年 水無月

 栃木県で起きた強盗殺人事件は日本中を震撼させました。まず実行犯が4人の高校生だったこと、犯行時間が朝だったことにも驚かされました。
 捜査が進みこの事件は単純な強盗ではなく秘匿性の高い通信アプリを利用した俗にいう「闇バイト型」犯行であることが明らかになりました。こういった組織的犯罪を匿名流動型犯罪「トクリュウ」と呼ぶそうです。
 これらの犯罪グループは実態が分かりづらく様々な卑劣な手段を用いて人々の安全と財産を脅かしています。おれおれ詐欺、還付金詐欺、偽警察を語る詐欺、ロマンス詐欺、投資詐欺など狙われるのは主に高齢者です。犯罪グループは巧妙に私達に近づいてきます。個人情報もすでに知られていたり、今までにない新たな手口で様々な罠をしかけてきます。
 私たちは子供の時から信用の大切さを教えられて育ちました。人が人を信じること、それは人生を豊かに生きる前提であったように思います。信じることを悪用する犯罪は許されるものではありません。知らない人からの電話には注意し、お金の話が出たらまず本当に信用できる身近な人に相談しましょう。

6月

  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  

令和8年 皐月

 正善寺は広島県高屋町生まれの先代住職が玉野市日比に拠を構えた開教寺院でした。第二次世界大戦の最中で物の無い時代、広島のある島にあった古い寺を移築したもので、寺としては小規模で本堂と庫裏とが一体のものでした。
 私の原風景はこの畳24畳の旧本堂外陣にあります。
 4〜5歳のころは、祖母が鬼の鬼ごっこで走りまわった楽しい思い出、小学生のころは日曜学校(子供会)。この日曜学校は近所の子供たちが集まり一緒にお経・お話・おやつ、夏休みには夜に集まり幻灯で少し怖いお話(肉付きの面)や仏典のお話し(我が身を顧みず小猿を救う母猿)など今も記憶に残っています。中学生のころはバレー部で本堂の高い天井めがけジャンプ、ジャンプ、アタックの練習にちょうどよかった。高校生になると反抗期、学校から帰ると法座がある日は多くの参詣者や泊まりがけの講師の先生がいて窮屈で居場所がなかった嫌な思い出…
 ともあれ寺に生まれ、本堂には色々な思い出が詰まっています。
今は岡山分院の本堂を5歳と2歳の孫がキャッキャッと楽しそうに走り回っています。

5月

  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  

令和8年 卯月

 世界は今、大きな転換期にあります。米国での第2次トランプ政権による自国第一主義の加速や、長引く中東情勢の緊迫、そしてAI技術の急激な進歩は、私たちの社会に恩恵と同時にかつてない不安と分断をもたらしています。経済の再加速が予測される一方で格差や対立の火種は消えず、春の柔らかな日差しの中でも多くの人々が心の落ち着きを失っています。
 仏教では「縁起」と説き、すべては繋がりの中にあると教えます。海の向こうの争いも、経済の混乱も、決して他人事ではありません。巡り巡って私たちの食卓や暮らしに影響を及ぼしています。私たちが吸う空気も、手にする食べ物も、無数の縁によって支えられているのです。外側の激動に惑わされそうな時こそ、まずは自分自身の内側にある「慈しみの心」に立ち返りたいと思います。
 怒りには寛容を、分断には対話を。私たちひとりひとりが身近な人に注ぐ一筋の優しさが、やがては世界を包む大きな力となります。争いの絶えないこの大地に一日も早く穏やかな静寂が訪れることを、すべての命が等しく尊ばれ、共に支え合える世界平和を心から願います。
 実は今月の法話もAIの助けを借りて作成したものです。こうして言葉を整えることができたのも、現代にいただいた一つのご縁、AIの恩恵ですね。

4月

  
  
  
  
  
    
  
  
  
  
  
  
  
  

令和8年 弥生

 ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックは、私たちに大きな感動を与えてくれました。フィギュアスケート・りくりゅうペアのショートプログラム失敗からの大逆転は、7年間様々な困難を乗り越え、日々積み重ねてきた二人の努力と信頼関係が実を結んだすばらしい瞬間でした。また、スノーボードでは限界ぎりぎりのすばらしい演技に対し、心からの賞賛と互いをリスペクトする姿が清々しく感じられました。
 フィギュアスケート・女子シングル金メダルのアリサ・リュウのすばらしい演技もさることながら「メダルは心要ありません。私はただ、ここに存在してこの瞬間を大切にしたいだけ。順位がどうであれ、私の滑りが変わるわけではありません」との取材での彼女の言葉には深い感銘をいただきました。過去の日本の選手達は国と多くの人々の期待を背負い、押し潰されそうな重圧の中で競技に臨んで来たように思います。
 ただ自分のベストを出しきる、ただそれだけ、順位は関係ない。私たちひとりひとりも一度かぎりの人生を悔いが残らないよう生き抜かなければなりません。勝った負けた、上だ下だ、得だ損だ、そんなことばかりに振り回されて生きるのはいかがなものでしょう。アリサ・リュウ、彼女の生き方を見習いたいものです。

3月"/

  
  
  
  
  
    
  
  
  
  
  
  

令和8年 如月

 玉野本院のある日比地区やその周辺は人口減少によりスーパーマーケットなどのお店や食堂はほぼ無くなりました。このような地域では車など移動手段をもたない高齢者にとって自宅近くまで来てくれる移動販売車スーパーは生活を支える大切なライフラインです。
 お米や飲料など重いものを運ぶ負担がなくなり、新鮮な魚や肉、日用品も手に入ります。また、週に2回きまった時間に顔を合わせる販売員さんは「いつもと違う様子はないか」と安否確認の役割も果たしてくれます。何より、移動販売車が停車する場所は地域住民が集い、楽しい会話が弾む「現代の井戸端」になっているのです。幸い正善寺玉野本院にも毎週決まった日時に移動販売車が来てくれます。本当にありがたいことです。
 人は美味しいものを食べると脳内に「幸せホルモン」が分泌されるそうですが、人が集まる交流の場では絆を深める「幸せホルモン」が増えるそうです。購入した美味しいものを食べる喜び、ご近所さんとのおしゃべりや手に取って品物を選ぶ楽しさ、いつもと変わらぬ笑顔が集まる安心感…。移動販売車は生活必需品といっしょに人と人が繋がるきっかけを運んでくれます。これからも地域住民の交流の場として、見守り隊としてどうぞよろしくお願いいたします。

 

移動販売車
2月

  
  
  
  
  
    
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  

令和8年 睦月

あけましておめでとうございます

 また新しい年を迎えることができました。年を重ねてくると次第に「生きる」から「生かされている」という思いに変わってくるのは私だけでしょうか。 「生きる」のはけっこう大変でしんどいものかもしれません。 「生かされている」そこにはただ感謝と喜びしかありません。 「柔らかくしなやかな心で生きなさい」仏の教えに導かれ、今年一年生かされてまいりましょう。

 

瀬戸大橋の朝日
1月

  
  
  
  
  
    
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  

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